加齢臭抑制に還元型コエンザイムQ10-その理由と摂取量

 

「加齢臭」という言葉は1999年、資生堂より生まれました。

 

それから18年後のいま、加齢臭抑制に関しての新しい研究結果が資生堂より発表されました。

 

それによると、コエンザイムQ10を摂取することでなんと体内の加齢臭成分である「ノネナール」が減少するそうです。

 

老化防止などのアンチエイジングとして有名なコエンザイムQ10。しかしなぜ加齢臭の抑制に繋がるのでしょうか?

 

そのコエンザイムQ10について色々とまとめてみました。

加齢臭は「ガス」として汗腺の中から出ている

 

 

加齢臭の発生する仕組み、今まではこうでした↓↓

 

人の体には、細菌や乾燥から肌を守るために皮脂を分泌する皮脂腺というものがある。

 

その皮脂腺の中には加齢臭の元といえる脂肪酸「パルミトオレイン酸」があり、それが年齢を重ねるごとに増加する。

 

それと同時に、皮脂腺の中で過酸化脂質という物質も増え始め、この過酸化脂質と前述のパルミトオレイン酸が結びつく。

 

その皮脂が皮脂腺より分泌され、空気中の酸素によって酸化→ノネナールという成分になり、加齢臭が発生。

~というメカニズムでした。

 

しかし2017年3月に資生堂グローバルイノベーションセンターは、体の中で生まれたノネナールが汗の出る穴などから出てくることを発表しました。

 

コエンザイムQ10摂取が高齢女性の皮膚ガス中の加齢臭成分ノネナールに与える影響」(日本補完代替医療学会誌 第14巻第1号 2017年)より参考。

 

つまり、加齢臭は皮膚表面の皮脂の酸化から発生するだけでなく、加齢臭の成分が汗腺から発生しているということになります。要するに、体の皮脂腺から皮脂を分泌しなくても、汗を出す汗腺からガスのように加齢臭が出ているということになるのです。

 

次の項目では、皮膚表面から発生するガスについて説明します。

 

体から皮膚ガス…?どういう事?

 

水蒸気以外にも様々な成分が皮膚から放出されていることが着目されており、体内の状態を表すともいわれている皮膚表面から放出されているガスのことを皮膚ガスといいます。

 

この皮膚ガスは毛細血管の中から汗腺に染み出して揮発(きはつ)してガスとなり、体外に放出されます。

 

そのため強い体臭の原因となるアポクリン腺だけでなく、ニオイがほとんど放出されないはずのエクリン腺を通じても皮膚ガスが放出されるということなんです。

 

いままでの認識では、

  • ワキの下
  • 背中
  • 後頭部

これらの箇所が加齢臭の発生場所でした。

 

それが汗腺が存在する場所からも皮膚ガスとしてニオイが発生しているということになるのです。(皮膚ガス中のノネナールの割合としてはごく一部といわれてます)

 

例えば手の甲・手のひらからも発生している…と。これは驚きです。

 

皮膚ガスからも加齢臭が発生することにより少し認識が変わってくるようですね。

 

加齢臭だけじゃなく、二日酔いの時も皮膚ガスがでている

 

飲み過ぎて二日酔いの時は、口臭だけでなく体全身からニオイが出ているように感じられますよね?それも皮膚ガスが関係していると言われています。

 

アルコール摂取した際に肝臓でアセトアルデヒドという物質に分解されます。しかし、飲み過ぎによりそのアセトアルデヒドの分解が間に合わず体に蓄積することもあります。

 

アセトアルデヒドは二日酔い特有な強烈な刺激臭の原因です。

 

そうした悪臭物質もおなじように皮膚ガスとして外に出てくる、ということです。だから近づくだけでもニオイがするんですね。

 

体の内側から脂質は酸化する

 

いままでもデオドラントシート・デオペーパー、他にも制汗剤や石鹸などたくさんの加齢臭ケア・対策商品が販売されてきました。

 

主にそれらは体外に出た加齢臭を軽減するためのものです。それが今は、体の中のノネナールを軽減することが注目されてきている。

 

加齢臭抑制のために、食事での動物性脂質の摂取を抑えて、パルミトオレイン酸(脂肪酸)を増やさないことは重要です。

 

また

  • ビタミンC
  • ビタミンE
  • βカロテン
  • ファイトケミカル

といった抗酸化作用があるものを摂取することで、体内の脂質の酸化を抑えてくれ、それにより加齢臭軽減につながると期待されています。

 

そのほかに代表的な抗酸化物質といわれるコエンザイムQ10も注目されています。老化防止、糖尿病、高血圧、生活習慣病の予防などの効果が期待できるとされている物質。

 

資生堂はそのコエンザイムQ10による加齢臭の軽減を2017年3月に発表しています。次の項目で詳しく。

 

加齢臭が減少!!コエンザイムQ10

 

資生堂の研究によると、コエンザイムQ10還元型と酸化型の2種類にわけ、一日100mgを4週間経口投与してノネナールの量を測定する試験を行ったそうです。

 

そのデータによると以下のような結果となりました。

 

 

  • 酸化型コエンザイムQ10 ノネナール23%減少
  • 還元型コエンザイムQ10 ノネナール29%減少

 

コエンザイムQ10は酸化型と還元型の2種類があり、研究結果によるとノネナール量が減少したのは「還元型コエンザイムQ10」のほうでした。

 

※上の画像及び参考、資生堂HPニュースリリース「コエンザイムQ10に体内から放出される加齢臭の抑制効果を世界で初めて発見」より。

 

このデータの試験者の対象は65歳~74歳の女性24人。この年代の加齢臭は男女共に強くなってくる年代ですが、女性は女性ホルモンの減少によりニオイが発生しやすくなるため注意が必要な年代です。

 

コエンザイムQ10を4週間摂取した場合、実際の採取した研究員の方が加齢臭が弱くなったことが感じられるくらい変化していたようです。

 

ちなみに皮膚ガスを採取する際は皮膚表面で発生したノネナールを一緒にとり込むことのないように、手首から先の場所で皮膚ガスを採取したデータとされています。

 

つまり、手の甲からも加齢臭が皮膚ガスとして発生しているということになり、4週間のコエンザイムQ10の摂取により加齢臭が軽減できたということになります。

 

そのコエンザイムQ10とは?

 

※画像はイメージです。

 

コエンザイムQ10とは1957年に発見された有機化合物。

 

このコエンザイムQ10、実は我々人間の体内で生成されるもの。ですが、年齢を重ねるにつれコエンザイムの生産能力は低下していきます。

 

20歳ごろからその量は徐々に減少していくとされ、40歳を超えると急激に減少していき、80歳ごろにはピーク時の半分になってしまいます。

 

コエンザイムQ10は細胞の中のミトコンドリアが働くために必要不可欠な物質といわれ、強力な抗酸化作用をもたらします。

 

そのことから、LDLコレステロールの酸化防止や生活習慣病の予防、老化防止などの効果があるとされコエンザイムQ10は人間が生きていくには欠かせない物質と言えるのです。

 

また、エネルギー燃焼が良くなることにより、肩こり、美肌、冷え性の改善や眠りを深くし、疲労回復させる効果が期待できるそうです。

 

こんな良いことずくめのコエンザイムQ10。じつは酸化型と還元型の2種類があります。一体なにが違ってくるのでしょうか?

 

次の項目で説明していきます。

 

コエンザイムQ10の酸化型と還元型の違い

 

(図-1)出典:健康カガクラボ「コエンザイムQ10の効果と働き」より

 

コエンザイムQ10酸化型とは?

 

上の図-1の左側が酸化型のコエンザイムQ10摂取した場合。もともと身体から作られるコエンザイムQ10は還元型となっています。

 

まず酸化型のコエンザイムQ10は摂取した際、体内で還元型に変換することが必要でした。

 

還元型に変換エネルギーは個人差があり、年齢やストレス病気などでも影響があるとされています。

 

年齢的に若く健康な方はそもそも還元するエネルギーが大きいため、活動エネルギーとして変換される量が多いのです。

 

しかし、高齢な方やストレスや病気などにより還元エネルギーがダウンしている方は、酸化型コエンザイムQ10を摂取した際に活動エネルギーとして変換される力が減少してしまいます。

 

そのため健康な方と同様に酸化型コエンザイムQ10を摂取しても活動するエネルギーが少なくなっていたのです。

 

30年かかった!!酸化型から還元型コエンザイムQ10へ

 

約30年ほど前から酸化型のコエンザイムQ10が製造開始されました。

 

その後開発が進むにつれて、体内でそのまま活用ができる還元型のコエンザイムQ10が完成しました。

 

開発者の努力により酸化型で効果をなかなか実感できなかった人でも実感できる還元型コエンザイムQ10を30年かけて完成させたということになります。

 

その還元型コエンザイムQ10とはこのようなものです。

 

体内でそのまま活用できる還元型コエンザイムQ10

 

上の図-1の右側が還元型コエンザイムQ10を摂取した場合です。

 

酸化型コエンザイムQ10とは違い、変換することはなく体内でそのまま使えるため活動エネルギーが大きく実感できるようになっています

 

そのため高齢の方や高ストレス、激しいスポーツなどをする方にも実感がしやすいものとなっているのです。

 

現在のコエンザイムQ10はほとんどの商品が還元型になっています。

 

コエンザイムQ10、一日の摂取量は?

 

コエンザイムQ10を摂取する以上、抗酸化作用が十分発揮できる量がしりたいですよね。

 

一日のコエンザイムQ10摂取量の目安は100mg。

 

※ちなみに資生堂の2017年の4月に発表された研究時も65~74歳の対象者にコエンザイムを100mg摂取してもらい結果がでています。

 

コエンザイムQ10が多く含まれている食材を以下の表にまとめました。

 

魚類 イワシ、カツオ、サバ、イカ
肉類 豚肉、牛肉、レバー、鶏肉
野菜 ブロッコリー、アボカド
豆類 ピーナッツ、大豆
乳製品 バター、チーズ
オリーブオイル

 

などがあります。

 

例に挙げるとコエンザイムQ10が多く含まれている「イワシ」でも6mg程度とされ、100mg摂取するにはなんと約20匹も食べなくてはなりません。

 

この事実から、我々日本人は、日頃の食事から1日に約5mg程度しかコエンザイムQ10を摂取できていないとされています。

 

こう見ると"普通の食事"では全然コエンザイムが足りてません。1日に必要なコエンザイムQ10を食事から摂取するのは非常に難しいのです。

 

そのためしっかりと対策したい方は不足分をサプリメントから補うことも検討しましょう。その方が困難な食事レシピ改善よりもよっぽど現実的です。

 

まとめ

 

 

どうだったでしょうか?

 

加齢臭は

  • 脂質の酸化は皮膚の表面だけではなく、体の内部でも起きる
  • ノネナールは毛細血管を通じ皮膚ガスとして、汗腺が存在する場所から体の外に排出する
  • コエンザイムQ10は老化防止・アンチエイジングだけでなく体の中から加齢臭を軽減する効果が期待される
  • コエンザイムQ10は酸化型と還元型があり、高齢者や疲労困ぱいな人などは還元型がおすすめ

のようなことが現在の研究によりわかってきています。

 

コエンザイムQ10は我々が生活していく上で必要不可欠なものでした。サプリメントでしっかり摂取するようにすると、老化・アンチエイジングだけでなく加齢臭抑制にもつながります。